※本記事は筆者の実務経験(税理士事務所2年半・経理財務16年半・現在広告会社CFO)をもとに執筆していますが、最終的な判断は税理士や所轄の税務署にご確認ください。最新の制度内容は国税庁の公式情報をご確認ください。
インボイス制度の負担軽減策だった「2割特例」が、いよいよ終了します。代わりに新設されるのが、個人事業主限定の「3割特例」です。
「2割特例が終わったら税金はどうなる?」「3割特例の対象になるの?」「結局いくら納めることになる?」——本記事では、こうした疑問にCFOの実務目線で、具体的な数字を交えてお答えします。
📌 この記事の要点
- 2割特例は個人事業主の場合2026年分(2027年3月申告)で完全終了
- 代わりに「3割特例」が新設され、2027年分〜2028年分の2年間限定で適用
- 対象は個人事業主のみ・基準期間の課税売上高1,000万円以下(法人は対象外)
- 納税額は売上にかかる消費税額の3割。2割特例より負担は約1.5倍に
- 事前申請は不要。確定申告書に「3割特例適用」と付記するだけ
- 2029年以降は本則課税または簡易課税への移行が必要
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そもそも「2割特例」とは?(おさらい)
2割特例とは、インボイス制度の開始にあわせて導入された負担軽減措置です。免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)になった人が、納税額を「売上にかかる消費税額の2割」に抑えられる制度でした。
たとえば年間の売上にかかる消費税が30万円なら、本来の計算を無視して6万円(30万円×2割)だけ納めればよい、という大きな優遇でした。
2026年税制改正で新設された「3割特例」とは?
2割特例の終了で「いきなり税負担が跳ね上がる」という不安に応えるため、2025年12月の令和8年度税制改正大綱で新設されたのが「3割特例」です。
仕組みはシンプルで、売上にかかる消費税額の3割を納めればよいというもの。実質的に7割が控除される計算です。経費の領収書を1枚ずつ集計する必要もありません。
| 時期 | 適用される制度 | 納税額 |
|---|---|---|
| 〜2026年分(2027年3月申告) | 2割特例 | 売上税額の2割 |
| 2027年分〜2028年分 | 3割特例(新設) | 売上税額の3割 |
| 2029年分以降 | 本則課税 or 簡易課税 | 業種により変動 |
3割特例の対象・適用条件
3割特例を使うための主な条件は以下の通りです。
- 個人事業主であること(法人は対象外)
- 基準期間の課税売上高が1,000万円以下であること
- インボイス発行事業者として登録していること
- 確定申告書に「3割特例を適用する」旨を付記すること
CFO目線:なぜ法人は対象外なのか
3割特例が個人事業主限定になったのは、法人は相対的に事業規模が大きく、経理体制も整えやすいという考え方が背景にあると見られます。実務的に注意したいのは、「3割特例が使える間は個人事業主で頑張り、終わる頃に法人化する」という選択肢が出てくる点です。ただし法人化は社会保険・役員報酬・均等割など多くの要素が絡みます。節税だけで判断せず、事業全体で考えるべきです。
【CFO試算】2割・3割・簡易課税、結局いくら納める?
言葉だけではピンと来ないので、具体的な数字で比較します。年間売上660万円(税込)・課税売上にかかる消費税60万円のサービス業(簡易課税のみなし仕入率50%)の個人事業主を例にします。
| 制度 | 計算 | 納税額 |
|---|---|---|
| 2割特例(〜2026年分) | 60万円 × 20% | 12万円 |
| 3割特例(2027〜2028年分) | 60万円 × 30% | 18万円 |
| 簡易課税(みなし50%) | 60万円 × 50% | 30万円 |
業種によっては簡易課税が有利な場合も。卸売業(みなし仕入率90%)なら簡易課税の納税額は60万円×10%=6万円となり、3割特例(18万円)より大幅に安くなります。自分の業種のみなし仕入率を確認することが重要です。
いつ・何をすべきか(タイムライン)
- 2026年分の申告(2027年3月):2割特例を最大限活用
- 2027年分〜2028年分:3割特例を付記して申告(手続き不要)
- 2028年中:2029年以降に向けて、簡易課税と本則課税のどちらが有利か試算しておく
- 簡易課税を選ぶ場合:適用したい課税期間の前に「簡易課税制度選択届出書」の提出が必要(期限に注意)
よくある質問(FAQ)
まとめ
インボイス3割特例の要点
- 2割特例は個人事業主の場合2026年分で終了
- 2027〜2028年分は個人事業主限定の3割特例(売上税額の3割)
- 手続きは確定申告書への付記だけでOK
- 負担は2割特例の約1.5倍だが、簡易課税・本則課税よりは軽いことが多い
- 2029年以降に向けて、簡易課税と本則課税の試算を早めに
広告会社CFO|実務16年半|税理士試験4科目合格。
2026年4月に第一子が誕生、39歳のパパCFOとして育休・家計・税金をリアルに発信中。
個人事業主・副業者・主婦のための税金・社会保険情報を実務目線で書いています。


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