少額減価償却資産の特例が40万円に拡大!個人事業主が2026年4月から得する買い物タイミングを現役CFOが解説

税金・社保・確定申告
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※本記事は2026年6月24日時点の情報に基づいています。筆者の実務経験(税理士事務所2年半・経理財務14年・現在広告会社CFO)をもとに執筆していますが、個別の判断は税理士等の専門家にご確認ください。

「30万円のパソコンは一括で経費にできると聞いたけど、それより高いものは無理なの?」と思っていませんか?

令和8年度(2026年度)税制改正により、2026年4月1日以降に取得した30万円以上40万円未満の資産も、一括で経費計上できるようになりました。青色申告をしている個人事業主にとって、設備投資の計画が変わる改正です。

現役CFO・税理士4科目合格の筆者が、改正の内容と「いつ買うのが得か」という実務の活かし方をわかりやすく解説します。

📌 この記事の要点

  • 2026年4月1日取得分から、特例の上限が30万円未満→40万円未満に拡大
  • これまで対象外だった30万〜39万9,999円の資産も、買った年に全額経費化できる
  • 対象は青色申告の個人事業主。年間合計300万円までは据え置き
  • 2026年は3月までと4月以降で基準が混在(3月=30万円・4月=40万円)。買うタイミングが効く
  • 適用期限は2029年3月31日まで3年延長

少額減価償却資産の特例とは?まず基本をおさえよう

通常の減価償却との違い

事業で使うパソコンや機械、カメラなどは「減価償却資産」として、複数年にわたって少しずつ経費化するのが原則です。たとえば耐用年数4年のパソコンなら、購入代金を4年間に分けて毎年計上します。これだと「買った年にまとめて経費にできない」という使いにくさがありました。

そこで青色申告の中小企業者等向けに設けられているのが少額減価償却資産の特例(租税特別措置法)です。一定金額未満の資産を、購入した年に全額一括で経費計上できる制度で、購入年の節税効果が大きくなります。

改正前(〜2026年3月31日取得分)

  • 上限:取得価額30万円未満
  • 対象:青色申告の個人事業主(常時使用する従業員500人以下)
  • 年間上限:300万円(合計取得価額)

2026年4月1日からの改正内容

上限が「40万円未満」に拡大

2026年4月1日以降に取得した資産から、特例の対象となる取得価額の上限が30万円未満→40万円未満に引き上げられました。これにより、これまで一括経費化できなかった30万円〜39万9,999円の資産も、購入した年に全額経費として落とせるようになります。物価上昇やIT機器の高性能化で「30万円台のPC」が当たり前になった実態に合わせた改正です。

従業員要件の変更は「主に法人の話」

同時に、適用対象の事業者に係る「常時使用する従業員数」の要件が500人以下から400人以下に引き下げられました。ただし、これは主に大きな法人を対象から外すための見直しで、一般的な個人事業主・フリーランスの実務にはほぼ影響しません。従業員を400人超抱えるフリーランスはまれだからです。ご自身ひとり、あるいは少人数で事業をしている方は、この点を気にする必要はありません。

項目 〜2026年3月31日取得 2026年4月1日取得〜
取得価額の上限30万円未満40万円未満
従業員数の上限500人以下400人以下
年間合計上限300万円300万円(据え置き)
適用期限2026年3月31日2029年3月31日まで延長

2026年は要注意:「いつ取得したか」で基準が変わる

この改正でいちばん実務的に大事なのが、「取得日ベース・資産ごとに判定する」という点です。改正後の40万円基準は、2026年4月1日以降に取得し、事業に使い始めた資産から適用されます。判定は事業年度単位ではなく、1つひとつの資産ごとです。

つまり、暦年で申告する個人事業主の場合、同じ2026年でも、3月までに取得した資産は「30万円未満」、4月以降に取得した資産は「40万円未満」という2つの基準が混在します。

具体例:35万円の業務用カメラを買う場合

2026年3月に取得:30万円以上なので特例の対象外。耐用年数で按分(初年度の経費は一部のみ)
2026年4月に取得:40万円未満なので35万円全額をその年の経費に計上できる

同じカメラでも、買うのが3月か4月かで初年度の経費額が大きく変わります。

2026年に30万円台の設備購入を考えていて、急ぎでなければ、4月1日以降に取得・使用開始するほうが節税面では有利になるケースがあります。「買い物のタイミング」が効く、めずらしい改正です。

具体的に何が買えるようになった?

2026年4月以降、次のような30万円台の資産が新たに一括経費化の対象になります。

資産の例 取得価額の目安 特例適用(4月以降)
高性能ノートPC35万円
業務用デジタルカメラ38万円
業務用プリンター・複合機33万円
40万円以上の機械設備40万円〜×(40万円未満が条件)

取得価額は「税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額」で判定します。たとえば税込39万8,000円のPCは、税込経理だと40万円未満なので対象です。ご自身の経理方式での金額で40万円未満に収まるか確認しましょう。

CFO

CFO目線:節税は「利益が出ている年」に効く。赤字なら急がない

毎年12月になると、駆け込みで設備を買う事業主さんを実務でよく見ます。ただCFOの視点で言うと、一括経費化が効くのは「利益(黒字)が出ている年」です。利益が薄い年やもともと赤字の年に無理に40万円のものを買っても、節税額より支出のほうが大きく、キャッシュは減ります。「税金が減るから買う」ではなく「もともと必要な設備を、買うなら利益の出た年の4月以降に」が正しい順番です。節税は目的ではなく、必要な投資にともなう“おまけ”として捉えるのが健全だと考えています。

📊 取得日・固定資産の管理は会計ソフトが正確

この特例は「取得日」と「事業供用日」が判定のカギ。会計ソフトの固定資産台帳に登録しておけば、30万円・40万円の基準判定も、年間300万円の上限管理も自動で正確に。freee・マネーフォワード・弥生なら少額減価償却資産の特例の処理にも対応しています。まずは無料で試せます。

注意点①:青色申告者のみ・事業専用が条件

この特例は青色申告をしている個人事業主のみが使えます。白色申告の方は対象外です。まだ青色申告にしていない方は、来年の申告に向けて開業届と青色申告承認申請書を提出しておきましょう(承認申請は開業から2か月以内、または申告したい年の3月15日まで)。

また、特例を使う資産は「事業専用」である必要があります。プライベートと兼用の資産は、仕事で使う割合に応じた家事按分が必要で、按分後の事業使用分が対象です(その金額で40万円未満かを判定します)。

注意点②:忘れがちな「償却資産税」

意外と見落とされるのが、少額減価償却資産の特例を使った資産は、償却資産税(固定資産税の一種)の課税対象になるという点です。所得税・住民税では一括経費化できても、その資産は償却資産として翌年以降の申告対象になります。

とはいえ、償却資産税は1月1日時点の課税標準額の合計が150万円未満なら課税されない(免税点)ため、少額の設備が数点ある程度の個人事業主であれば、実際に課税されないことも多いです。ただし、設備をまとめて購入して課税標準が150万円以上になる場合は、所得税の節税分と償却資産税の負担を見比べる必要があります。「所得税は減ったが償却資産税で取られた」とならないよう、規模が大きい場合は意識しておきましょう。

参考:金額帯ごとの経費化の選択肢
10万円未満:消耗品費として全額即時経費化(特例の枠とは別カウント)
20万円未満:一括償却資産(3年で均等償却)も選べる。償却資産税はかからない
40万円未満(青色):少額減価償却資産の特例で全額即時経費化(償却資産税の対象)
40万円以上:通常の減価償却

年間上限300万円に達しそうなときは

1年間に購入する対象資産の合計が300万円を超えそうな場合は、次の選択肢があります。

  • 300万円超の部分は通常の減価償却へ:特例の適用は任意なので、一部の資産を特例外にできます
  • 取得時期を翌年以降に分散:事業計画に余裕があれば、購入年度をずらして毎年の枠を活用
  • 20万円未満は一括償却資産も検討:償却資産税がかからない一括償却資産との使い分けで、トータルの負担を抑える

まとめ

少額減価償却資産40万円改正の要点

  • 2026年4月1日取得分から、上限が30万円未満→40万円未満に拡大
  • 対象は青色申告の個人事業主。年間合計300万円・2029年3月末まで
  • 2026年は3月(30万円)と4月(40万円)で基準が混在。急がないなら4月以降が有利
  • 節税が効くのは黒字の年。必要な設備を、利益の出た年に買うのが正解
  • 規模が大きいと償却資産税がかかることも。免税点150万円を意識

今年中に買い換えを検討している資産があれば、取得価額が40万円未満に収まるか、そして取得を4月以降にできるかを確認してみてください。「必要な投資を、いちばん得なタイミングで」が、この改正の賢い使い方です。

※本記事は2026年6月24日時点の情報に基づく一般的な解説です。税法は改正されることがあります。一次情報は財務省「令和8年度税制改正の大綱」および国税庁・各種公表資料を参照しています。償却資産税の免税点の扱いなど詳細は、お住まいの市区町村や税理士にご確認ください。個別の税務判断については、税理士等の専門家にご相談ください。

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