※本記事は2026年6月18日時点の情報に基づいています。支援金率や負担額は、加入する健康保険組合や住んでいる自治体によって異なります。筆者の実務経験(税理士事務所2年半・経理財務14年・現在広告会社CFO)をもとに執筆していますが、個別の判断は社会保険労務士・税理士等の専門家にご確認ください。
2026年5月の給与明細に、見慣れない「子ども・子育て支援金」という項目が追加されているのに気づいた方も多いのではないでしょうか。
SNSでは「独身税がついに始まった」「子どもがいないのになぜ払わされるのか」と大きな話題になっています。一方で「実際いくら払うの?」「自分には関係あるの?」という素朴な疑問を持っている方も多いはずです。
現役CFOとして会社の給与計算・社会保険実務に携わってきた立場から、この制度の正確な仕組みと年収別の負担額をわかりやすく解説します。
📌 この記事の要点(2026年6月18日時点)
- 「子ども・子育て支援金」は2026年4月分保険料(翌月徴収なら5月給与)から徴収開始
- 2026年度の支援金率は全国一律0.23%。会社員は労使折半で本人負担は約半分
- 年収600万円の会社員で本人負担は月約575円・年間約6,900円
- 料率は2028年度までに段階的に引き上げて導入完了。政府はそれ以降増やさない方針(年収600万円なら2028年度は月約1,000円の見込み)
- 「独身税」は誤称。子どもがいる親も含め、医療保険加入者が広く負担する社会保険料の一種
子ども・子育て支援金(独身税)とは?
子ども・子育て支援金とは、2024年の「改正子ども・子育て支援法」に基づいて創設された新しい仕組みです。2026年4月から全国で徴収が始まっています。
健康保険料などの医療保険料に上乗せする形で徴収され、集まったお金は児童手当の拡充や保育サポートなど、法律で定められた子育て支援施策にのみ充てられます。税金ではなく「社会保険料と一体で徴収される拠出金」という位置づけです。
「独身税」と呼ばれる理由
「子ども・子育て支援金=独身税」という呼び方は、本来は正確ではありません。「独身者だけに課す税金」ではないからです(後述しますが、子どもがいる親も含め、医療保険に加入する人が広く払います)。
にもかかわらず「独身税」という言葉が広まったのは、子どもがいない人・独身者も含めた全員が負担するのに、支援金の使い道が子育て世帯への給付に限定されているという構造への不満を表現した言葉です。「自分には子どもがいないのに、なぜ払わなければいけないのか」という感情が凝縮されています。
制度が始まった背景
日本の少子化は深刻です。合計特殊出生率は低下を続け、このまま放置すれば社会保障制度の維持が困難になると言われています。政府は「こども未来戦略(加速化プラン)」を策定し、少子化対策を抜本強化することにしました。その財源として新設されたのが子ども・子育て支援金です。増税ではなく「医療保険料に上乗せ」という形を取ることで、全世代が広く薄く負担する仕組みにしています。
年収別の月額負担額一覧【2026年度版】
2026年度の支援金率は全国一律0.23%です。会社員の場合は健康保険料と同様に労使折半なので、本人負担分は実質その半分(約0.115%相当)になります。「年収」ではなく、社会保険で使う「標準報酬月額」に料率を掛けて計算される点に注意してください。
会社員(被用者保険)の場合
計算式:標準報酬月額 × 0.23% ÷ 2(労使折半)
| 年収(目安) | 月額負担額(本人分) | 年間負担額(本人分) |
|---|---|---|
| 200万円 | 約192円 | 約2,304円 |
| 300万円 | 約288円 | 約3,456円 |
| 400万円 | 約384円 | 約4,608円 |
| 500万円 | 約480円 | 約5,760円 |
| 600万円 | 約575円 | 約6,900円 |
| 700万円 | 約671円 | 約8,052円 |
| 800万円 | 約767円 | 約9,204円 |
| 1,000万円 | 約959円 | 約11,508円 |
※こども家庭庁・健康保険組合の試算をもとに作成。標準報酬月額の等級や加入する健康保険によって実際の金額は異なります。正確な額はご自身の給与明細でご確認ください。
現役CFOの実感として、月額数百円という負担感は「缶コーヒー1本分」程度です。ただ、この金額は2026年度のものであり、後述するように段階的に引き上げられる点には注意が必要です。
なお、会社は従業員と同額を負担します。年収600万円の社員がいる会社は、本人負担の575円に加え、会社も同額の575円を負担しています。経営者・事業主の方は人件費コストの増加として把握しておきましょう。
個人事業主・フリーランス(国民健康保険)の場合
国民健康保険に加入している個人事業主・フリーランスの方も、この支援金の負担が生じます。ただし、会社員と2点異なります。
① 計算方法が市区町村ごとに異なる
国民健康保険の支援金は、各市区町村が条例に基づいて保険料率を設定するため、住んでいる自治体によって金額が変わります。被用者保険のように全国一律の表で確認することができません。徴収開始時期も市区町村・広域連合が決定します。
② 事業主負担がないため全額自己負担
会社員は保険料を会社と折半していますが、フリーランス・自営業の方には事業主負担がありません。所得が同じでも、実質的な負担感は会社員より重くなる可能性があります。
正確な負担額は、2026年6〜7月に届く「国民健康保険料(税)の納入通知書」に記載されます。まだ届いていない方は、お住まいの市区町村の窓口またはWebサイトで確認できます。
CFO目線:会社の負担も「同額」増えている
給与計算をCFOとして見ていると、この制度は「従業員の手取りが少し減る」だけの話ではありません。会社側も従業員と同額を負担するので、たとえば従業員50人・平均年収400万円規模の会社なら、会社負担だけで年間40万円前後のコスト増になります。料率が上がる2028年度には、この会社負担も比例して増えます。経営の数字を預かる立場としては、見落とせない固定費の増加です。
いつから給与天引きが始まった?徴収のタイミング
子ども・子育て支援金は、2026年4月分の保険料から徴収が開始されています。給与天引きの開始月は、会社の徴収方法によって変わります。
・当月徴収の会社:2026年4月支給の給与から天引き開始
給与明細を確認すると「子ども・子育て支援金」または「子育て支援金」という新しい項目が追加されているはずです。国(こども家庭庁)は、加入者が負担額を把握できるよう、医療保険料と区別して表示するよう求めています。
賞与(ボーナス)からも徴収されます。計算式は「標準賞与額 × 0.23% ÷ 2」です。標準賞与額は賞与の1,000円未満を切り捨てた額で、健康保険と同じ年度累計573万円の上限が適用されます。
育休中は免除されます(パパ・ママは要チェック)
育児休業期間中は、健康保険料と同じように子ども・子育て支援金も免除されます。月末時点で育休中の場合はその月の支援金が免除、同一月内に14日以上の育休を取得した場合も免除の対象です。賞与にかかる支援金は、1か月を超える育休の場合に免除されます。育休を取る予定のある方は、この免除も含めて家計を見ておくと安心です。
料率は2028年度に向けて段階的に上がる(ただし上限あり)
子ども・子育て支援金の料率は2026年度が「スタート」であり、制度の本格実施に向けて段階的に引き上げられる予定です。
ここで重要なのは、料率が永遠に上がり続ける予定ではないということです。子ども・子育て支援金は、2026年度から2028年度までの3年間で段階的に導入し、2028年度に支援納付金が最大規模(全体で約1兆円)に達する設計になっています。政府は、この2028年度の水準をもって段階的な引き上げを完了し、それ以降は増やさない方針を示しています。
ただし注意したいのは、これは「2029年度以降1円も上げてはならない」という法的な上限が定められているわけではない、という点です。法律(2024年改正子ども・子育て支援法)が定めているのは、「2028年度までに段階的に導入する」ことと、「支援金の徴収が社会保障負担率に与える影響を、歳出改革・賃上げによる負担軽減の効果の範囲内に抑える」という枠組みです。SNSでは「独身税はこれからどんどん上がる」という不安が広がっていますが、政府の方針としては2028年度で引き上げが一区切りする、というのが正確な理解です。
では、引き上げが完了する2028年度には、いくらになるのでしょうか。こども家庭庁は、国会審議の中で2028年度の年収別の負担見込額(被用者保険・本人負担分の月額)を公表しています。
| 年収(目安) | 2026年度の月額(本人分) | 2028年度の月額(本人分・見込み) |
|---|---|---|
| 200万円 | 約192円 | 約350円 |
| 400万円 | 約384円 | 約650円 |
| 600万円 | 約575円 | 約1,000円 |
| 800万円 | 約767円 | 約1,350円 |
| 1,000万円 | 約959円 | 約1,650円 |
※こども家庭庁が国会審議向けに公表した試算(過去の総報酬実績をもとに機械的に算出したもの)。2028年度の賃金水準により実際の額は変わります。あくまで参考値としてご覧ください。
年収600万円の会社員なら、2026年度の月約575円・年間約6,900円が、2028年度には月約1,000円・年間約1万2,000円になる見込みです。負担感は「缶コーヒー1本分」から「年間1万円超」へと変わっていきます。会社負担も同額あるため、事業主側のコスト増も同じペースで進みます。家計も経営も、長期での影響を把握しておくことが大切です。
支援金の使い道は?本当に子育て支援に使われるのか
「払ったお金がきちんと子育て支援に使われるのか?」という疑問は当然です。制度上、子ども・子育て支援金は法律で定められた子育て施策にのみ使用され、道路や国防などの一般財源には回りません。主な使い道は次のとおりです。
所得制限を撤廃/高校生年代(18歳)まで延長/第3子以降は月3万円
② 妊婦のための支援給付(妊娠時5万円+出生時5万円=合計10万円)
③ こども誰でも通園制度(就労要件を問わず未就園児が時間単位で保育所等を利用可)
④ 出生後休業支援給付(両親で育休取得時、最大28日間手取り10割相当)
⑤ 育児時短就業給付(2歳未満の子を育てる時短勤務者へ賃金の一定割合を支給)
⑥ 国民年金第1号被保険者の育児期間保険料免除(2026年10月から・フリーランスの育休中の国民年金を免除)
特に①の児童手当拡充は、子どもを持つ方にとって大きな恩恵です。第3子がいる家庭では、月3万円×12か月=年36万円の給付が受けられます。⑥はフリーランス・自営業の育児を支える新しい仕組みで、パパ・ママになる個人事業主の方は押さえておきたいポイントです。
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「独身税」は本当に正しい呼び方なのか
子どもがいる親も、パートで社保加入している人も払っている
繰り返しになりますが、「独身税」という呼び名は正確ではありません。子ども・子育て支援金を払っているのは、独身の方、子どもがいない夫婦、子どもが3人いる親御さん、後期高齢者医療制度に加入している高齢者など、医療保険に加入する人全般です。パート・アルバイトでも、社会保険(健康保険)に加入していれば対象になります。
一方で、被扶養者(扶養に入っている配偶者など)からは徴収されません。扶養の範囲内で働いている方は、自分自身が社会保険に加入しているかどうかで扱いが変わります。年収の壁とあわせて確認しておきましょう。
なぜ批判が集中するのか
それでも批判が集まるのは、負担と受益の非対称性が原因です。健康保険は「自分が病気になったとき」に使う自分のための保険、年金は「将来の自分が受給する」もの。しかし子育て支援金は、子どもがいない人は直接の受益者になりません。
現役CFOとして申し上げると、少子化が進めば将来の納税者・労働力が減少し、年金や医療の社会保障全体が揺らぎます。その意味では「社会全体の問題」として捉えることもできます。ただ、それが「腑に落ちる説明」として国民に届いているかどうかは別問題で、制度設計とコミュニケーションの課題として残っている部分があると感じます。
批判の火種になっているもう一つの論点が、政府の「実質負担ゼロ」という説明です。政府は、歳出改革と賃上げによる社会保険負担の軽減効果の範囲内で支援金を構築するため、制度全体としては実質的な負担は生じない、と説明しています。ただCFOの実務感覚で正直に言えば、これは「社会保障全体の負担率で見れば」という話であって、個々の給与明細から支援金が引かれること自体は事実です。マクロの相殺と、目の前の手取りが減る実感は別物だ、という点は押さえておいてよいと思います。
まとめ
子ども・子育て支援金の要点(2026年6月18日時点)
- 2026年4月分保険料(翌月徴収なら5月支給の給与)から天引き開始
- 2026年度の支援金率は全国一律0.23%、会社員は労使折半で本人負担は約半分
- 年収600万円の会社員で月約575円・年間約6,900円
- 料率は2028年度までに段階的に引き上げて導入完了(年収600万円で月約1,000円・年約1.2万円の見込み)。政府はそれ以降増やさない方針(ただし法的上限が定められているわけではない)
- 「独身税」は誤称。医療保険加入者が広く払う社会保険料の一種。被扶養者は徴収なし、育休中は免除
- フリーランス・自営業者は国保とあわせて全額自己負担。額は自治体ごとに異なる
自分の正確な負担額は、給与明細または市区町村の納付通知書で確認してください。支援金で手取りが減る一方、児童手当などの給付は拡充されています。「わが家にとって差し引きどうなるか」を一度整理しておくと、漠然とした不安が具体的な数字に変わります。
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※本記事は2026年6月18日時点の情報に基づく一般的な制度概要です。実際の支援金額は加入する保険組合や住んでいる自治体によって異なり、今後の制度改定により変更が生じる可能性があります。一次情報はこども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」を参照しています。社会保険料に関する個別のご判断は、社会保険労務士または税理士にご相談ください。
広告会社CFO|実務16年半|税理士試験4科目合格。
2026年4月に第一子が誕生、39歳のパパCFOとして育休・家計・税金をリアルに発信中。
個人事業主・副業者・主婦のための税金・社会保険情報を実務目線で書いています。

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