要約:130万円の壁は「月10万8,334円前後が継続するか」で見られる被扶養判定の目安です。年末の一時超過やボーナスの扱いは“継続性”がポイント。この記事では「今期130未満をキープしたい」方向けに、月次運用のコツと落とし穴チェックをまとめました。
最終判断は所属健保・勤務先規定・一次情報に従ってください(本稿は概算の目安です)。
他の記事
この記事でできること
- 130万円未満を狙うための月次・年次チェックが分かる
- ボーナス・交通費・複数勤務先など、迷いやすい論点を整理
- 106万円(勤務先社保加入)との関係もひと目で確認
まず理解:130万円の壁とは?
- 対象:配偶者の健康保険の被扶養の要件(=外れると自身で保険加入が必要)
- 見方:月額換算で約108,334円が継続する見込みかどうか
- 含め方の目安:交通費なども含めた収入で見ることが多い(被扶養判定の運用)。
- 一時的超過:ボーナス等の一時的増は“継続性なし”ならセーフの余地あり(最終判断は健保)
106万円(勤務先社保)との違い
106は**「所定内賃金 月8.8万円+週20h+2か月超+規模等」**で職場加入の要件。通勤手当は“8.8万円判定には含めない”のがポイント。
130は被扶養の話で、通勤手当を含める扱いが一般的。用途が違います。
130未満キープ:月次運用チェックリスト
毎月のはじめに今月の着地見込み、月末に実績を確認します。
A. 収入見込み・着地管理
- □今月の出勤日数・シフトは決まっている
- □基本給×所定時間+(継続的な手当)で月額見込みを算出
- □交通費(定期代/実費精算)を含めたトータルを把握
- □複数勤務先がある場合、合算して見込みを作っている
- □来月以降も同程度が続くか(=継続性)をメモ
B. 変動要因(予定表)
- □賞与・臨時手当の予定(時期・金額・“一時的”か)
- □繁忙期の時間増(単発か、ずっと続くか)
- □時給改定や契約更新(条件変更)
- □交通費の経路変更や定期更新での増減
C. 境界対策(超えそうな時)
- □シフト調整(翌月繰り・有給活用・所定外の抑制)
- □支給タイミングの確認(翌月扱い等、会社規程に沿う)
- □臨時収入の取り扱いを健保へ事前確認(“継続性”の考え方)
- □複数勤務の割り振りを見直し(トータルで月10.8万円目安を意識)
D. 記録・証跡
- □給与明細(基本給/手当/通勤手当の内訳)を月次で保管
- □就労実態(週時間・所定内賃金)をメモ化
- □シミュレーション表(後述テンプレ)を更新
- □変更があれば労務・健保に相談した記録を残す
年間運用チェックリスト(四半期/年末)
- □年間見込み=(月見込み×12)を更新
- □賞与込みの年間合計を概算(※130は月ベースの継続性重視だが、年の合計も“体感ズレ”防止に)
- □年末調整の前に、税のレンジ(103/150/201.6)も合わせて確認
- □106要件(週20h・月8.8万・2か月超・規模・学生除外)に該当しないか再点検
- □複数勤務先の合算が固定化していないか(合算で継続的に超えると見なされることも)
よくある“落とし穴”と対策
1) 交通費の見落とし
- 落とし穴:被扶養判定では交通費も含める扱いなのに、月10.8万円の計算から外してしまう
- 対策:定期代の月割りも含めた金額で月額を管理
2) 一時金で“つい”超過
- 落とし穴:ボーナスや繁忙期手当でその月だけ上振れ
- 対策:継続性がないならセーフの余地あり。支給前に労務・健保へ確認、証跡保全
3) 複数勤務先の合算
- 落とし穴:事業所A・Bの合算で実質継続的に超えていると見なされる場合
- 対策:全体の週時間・月額を一覧化。境界付近は働き方配分の見直しも
4) 106要件の見逃し
- 落とし穴:130未満を意識しすぎて、所定内賃金8.8万+週20h+2か月超+規模を満たしてしまっている
- 対策:所定内賃金(通勤手当は除外)で月8.8万円を切っているか、週20h未満か、規模要件外かを定期チェック
かんたん月次テンプレ(コピペ可)
列:月/基本給/手当(継続)/交通費/合計(月)/一時金(別)/継続性(○/△/×)/メモ
判定:合計(月)が10.8万円未満で○が続くか?
例:
10月:基本90,000+手当3,000+交通費12,000=105,000(○)
11月:同条件、105,000(○/ボーナス50,000※一時)
12月:繁忙期で所定外増→112,000(△/単発)
ケース別ガイド
ケースA:ボーナスが年1回・小さめ
- 一時金扱いなら継続性なし→セーフの余地。支給前に健保へ“取り扱い”確認。
ケースB:交通費が大きい(遠距離通勤)
- 定期代の月割りを含めると境界に近づく。シフト/所定の再設計でバッファ確保。
ケースC:2つのパートを掛け持ち
- 合算で継続的に超えると見られることも。週時間・割当を調整し、片方は単発の応援に寄せる等。
106万円(勤務先社保加入)との整理
- 106要件:週20h以上/所定内賃金 月8.8万円以上(通勤手当は除外)/2か月超/学生除外/事業所51人以上
- 該当すると:本人が社保加入(=配偶者の被扶養ではなくなる)
- 130キープ派は:8.8万円の“所定内”の内訳を正確に把握(基本給+所定手当/通勤手当は別枠)
よくある質問(FAQ)
Q. 交通費は130判定に入れますか?
A. 含める扱いが一般的。定期代の月割りなども含め、月額トータルで継続性を見ます。
Q. ボーナスで一時的に超えたら即アウト?
A. 一時的で継続性がなければセーフの可能性があります。所属健保の基準で最終判断。
Q. 106の8.8万円に交通費は入りますか?
A. 入りません(所定内賃金の判定から除外)。ただし、加入後の保険料計算の“報酬”には含まれる点に注意。
次に読む(内部リンク)
免責
本記事は一般的な目安です。健康保険の被扶養判定は所属健保の基準、勤務先の就業規則や賃金規程、税の取り扱いは一次情報に従ってください。境界付近は労務担当/健保/年金事務所で確認しましょう。
他の記事




コメント